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2010.09.19 *Sun*

ウルバンの月

おさるの竹馬の悪友、須藤氏に会ってきました。
ものの2時間だけでしたが、近況報告と借りてた本の返却のついでに、買いすぎたフラットを押し付けてきました。
本を返すと同時に新たな本もそっと入れて置きました。
須藤氏はnot腐女子なので、控え目なものを選んでみました。以下、ラインナップ。

①夏の塩・夏の子供
②WELL
③ありのままの君が好き

控えめなものを選んでみました(2度嘘を言った…!!)。
ま、決して控え目ではないですが、①も③も大好きな作品ですからね!②はどこいったって感じですが、須藤氏がナリセコノハラ好きっていうからレンタルしてみた。
須藤氏はnot腐女子だけど、本が好きなのでボラだろうと何だろうと、いい話はいいからボラ本も読む!という話のよく判るオタク仲間なので、本を貸す側としても腕を試されている気がします。
で、今回選りすぐりのこの4冊なわけです。
ま、②③だけじゃなく①を入れるあたりが優しさですよね。うん、優しさだよ(これも2度言った)。
だって②③だけ貸して「もうボラ本読まない。もうおさる君の貸してくれる本に期待はしない」とか言われても困りますしね!ここはボラ本の名作をね。入れておきました。
あ、③は迷作ですね。②は…不明作?
嗚呼、須藤氏の感想が楽しみだなーw
そういえば今日、前回貸してた刺青の男が返ってきたんだけど、言われました。

「構成も、物語としても素晴らしくてよく出来てるっていうのは分るんだけど、もう二度と読まない…」

(=谷=)

ですよねーww
あたしたちも読まないw所有してるけどw
でも、何故か手放せない。ある種芸術作品に近いのかも。


ということで。
実は①の榎田さんの本の代わりにこの方の本にしようかとも一瞬思った繋がりで、本日はこの本の感想をば。
ちなみに貸そうか迷った本は、もちろん禽獣の系譜。


ウルバンの月 (白泉社花丸文庫)ウルバンの月 (白泉社花丸文庫)
(2000/10)
花郎 藤子

商品詳細を見る



題名:ウルバンの月
作者:花郎藤子
挿絵:佐々成美
初版:2000.10
発行:白泉社


******************************************

あらすじ:
新進気鋭のシルバージュエリーデザイナー沢木理玖は、叔母夫婦の家の離れに工房を構え、弟子の榎田数馬と共同生活を送っている。
理玖は16の時事故で両親を亡くし、同時に叔母の娘・涼子も亡くなっていた。
そして今は家を離れている叔母の長男・仁と理玖の間には、肉体関係を強要された辛くて苦しい過去があった。
だがそれも高校卒業する日に突然終止符が打たれた。
『二度とおまえの前に現れないから心配するな』
そう告げたきり姿を消したのだった。それから4年…。

******************************************


題名のウルバンとは盂蘭盆会のことなんですけども。
それが理解できてると、読む前からどういう話なのかはうっすらと想像が出来るかと。
つまりは夏に読むと、ちょっと涼しくなるよ?っていうお話ですな。
だから、ニガテな人はニガテなジャンルなのかもしれないですが、あんまりそれ系が得意でない私達がこの話を読んでも、あんまりホラーだ…という感じは受けなかったんですよね。
主人公理玖はこの世のものではなくなってしまったもの達が見えてしまうという体質の持ち主です。
で、ホラーっていったら、その名前から受けるイメージとしては、人ならざるものが生きている人間を襲う…危害を加えて復讐する…というようなマイナスのイメージなんですが、この話はそうではないんです。
何か悪さをする…というわけではなくて、何かこの世に未練を残しながら、ただ静かにそこにいる。
そんな感じですね。
まぁ実際に危害を加えてなくても、自分が運転してる車の後部座席で笑いながらげろげろされてしまったら、いい気分はしませんけどね(苦笑)。

何故かこの本を読み終わった後、霊の話なのに、温かい気持ちになれたんですよ。
理玖は霊が見えるというだけで、霊の生前の悔いや未練を晴らして成仏させる、なんていう力は持ってません。本当に見えるだけなので、どうしようもない。
だけど、理玖が霊の姿を認めることで、亡くなった人がかつて確かにそこに存在していた…っていうことを心に留めておく、ただそれだけでも良かったのかも。
理玖の家系は元々、女性の末娘がその家を継ぐ…という女系家族で、そして女性の名前には一定の法則があるんですね。
その中に、昔、『玖』という文字が名前の中にあった女性は不思議な力(=霊を見る能力)があったと。
で、その文字を名前に継いだのが男性ではあるけれど理玖だったわけです。
何でこの『玖』という文字が名前に使われてるんだろうかと、漢語林とかめくってみたんですが、絶対コレだ!っていう確証は無いんだけども、もしかしたらこういう意味で作者は使ったのかなぁ…とも思ったり。

玖って数字の九の代用文字ですが、九っていうのは数字の終わりや、集まる、という意味。
終わりというのは、人生の終わりとも取れるのかなと。
人生を終えて人ならざるものになった人達が、理玖の元に姿を現す…。
また、玖は黒色の美しい玉のような石とか宝石、という意味もあるので、ジュエリーデザイナーという職業や、玉=魂に繋がる部分もあるのかな、と。
ただ、九は数字としては、陰陽では陽に入るので、本来ならプラスの力を持つ筈なんだけども、理玖の力は見えないものが見えてしまうという時点で陰の力になってしまうわけでして。
本来女性がになう文字で、女性はそもそも陰なので、これはどうしようもないんですが、これを補う為に重要な役割を果たすのが、攻の仁なんですねぇ。
仁は理玖の従兄弟にあたるんだけども、仁の名前をお祖母さんが褒めるシーンがあるんですよ。
で、またまた漢語林で調べてみたら、仁とは恵み育てるという意味の他に、人の心・心の本体、という意味があるそうです。
ここで、仁は性質的に陽(男性は基本陽ですが)だと分り、陰の理玖と補い合う関係なんだと気づいたんですね。
そうすると物語の最後のシーンに合点がいくんですよ。
このお話全編に渡って、名前が持つ意味の重要さ、それを与える大切さ…○と○尋の神隠しが伝えたかったこととよく似てるかも。
そもそも、理玖の家系の女性の名前には代々草冠がつく漢字が使われていたんですが、本来草冠はキリストのいばら(草)の冠を示唆してるそうです。
その後の復活などの出来事も含め、つまりは生死に関わるような意味があったということで。
理玖のお祖母さんは「自分にはそういう力が無かった」と言っているけれども、理玖の家系は元来そのような力を持っていたということですね。


さて。
理玖は基本、『視る』ことしか出来ないので、霊に対してはどうしてあげることも出来ません。
対する仁は、霊の姿はおろか存在すらも感じることが出来ません。霊感ナッシング。皆無ですよ。
だけど、そんな仁には素晴らしい力が宿っていたんですね。
生命エネルギー…生きる力に溢れている。
過去に二人の間に色々とあったとしても、結局理玖は彼といることで、自分が生きるエネルギーを貰っていたのでしょう。
そして、重要な登場人物の一人、押しかけで理玖の弟子になった数馬。
こやつの存在が、物語半ばにして大どんでん返しになる。
実は普通に存在していたと思わせぶりに書かれていた彼の存在が、実は本当は幽体離脱した魂で、体は意識不明のままに病院に収容されている…というもの。
最後の最後のシーンは、そんな入院している彼の本体のところへ、理玖が仁と共にお見舞いに行く場面です。
何も理解していない仁は、「???」という感じなんですが、理玖はただ、彼に言うんですね。

「彼(数馬)に触ってくれないか」

それで、意識の無い数馬の額に、仁は手をあてるんです。
何も見えない仁は気づいて無いのだけど、理玖には視えたんですよ。
仁の手のひらから、光が溢れて、それが数馬の額に吸い込まれていく様を。
その場面が何だか凄く神々しくて、じーんとくる。
最後、数馬がどうなったかははっきりとは書かれてないんだけども、示唆的に表されています。
その日一日、理玖に微笑みが絶えないくらいいいことがあったんだねと。






見えないものを見てしまう理玖の弱さを、仁は否定しない。


退けない。


笑わない。


気味悪がったりなどけしてしない。


そして受け入れる。あるがままに。


それだけで理玖は十分満たされる。


仁がそばにいて自分を肯定してくれること――そのこと自体が理玖の救いだ。






最後の終わり方がはっきりとしないので、心がもやっとしたままの読後感の人もいるかと。
でも、この話はこの終わりだからこそいいんじゃないかな。
少なくとも私達は、この終わり方が凄く好きです。
頭の中に、最後のシーンが鮮明にイメージできるんですよ。映画みたいに。
理玖の幸せそうな笑顔でエンドロールっていうような。
花郎さんは基本、文章に無駄が無いというか、行間を読むのが重要で、それがまた楽しいんですよね。
例えて言うなら、体脂肪率一桁台のイチ□ー並の無駄の無さということで。
全部活字に表されていて『全部こうなった!』って明確に表現されているものも読後感良くていいんだけれども、明確に表してないからこそ、想像の余地がある…。
そんな物語も好きです。
文章ではっきりと書かれていると、ダイレクトに心に感動は刻まれる。
はっきりと描かれていないものは、じわじわと心に沁みこんで来る。
描き方次第ですよね。そして、私達は、このお話にはこの終わり方がベストだったんじゃないかなと。
そう思いました。




【勝手に評価】
霊感度:★★★★★
B L度:★★☆
総  合:★★★★☆


★5にするか迷ったんだけども、ま、ジャンルがジャンルで読む人を選ぶっていうのと、やっぱりこの方のお話はやっぱり禽獣の系譜があるので、どうしてもそれと比べてしまう。
でも、お薦めの作品には違いない!



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Author:万里&おさる
万里とおさるの腐女子シスターズ。
姉なのにおさるに虐げられて過ごす、万年ディフェンス女、万里。
オフェンス担当、α派の笑顔で人をぶった切る(人に言われた)テラドSなオフェンス担当の妹おさる。
二人合わせて暫。

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・ネタバレしまくってます。基本的に最初は日常の日記、折りたたみで本の感想になっています。
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